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お墓の話 其の九

 あっという間に終わってしまった夏を惜しむかのような日差しの中、家族総出でお墓掃除に出向いた。いつものように墓石を磨いていると息子が「パパの名前がないねー」とつぶやいた。今の墓石は父と祖父が建てたものなので二人の名前は施主として彫ってあるが、私の名前はどこにも彫ってはいない。

「そうだねー、今度どっかにパパの名前を彫ろうか。」
「うん、じゃー僕の名前も彫ってよ。」と長男。すると、「僕も僕も」と次男。「んっ?」そこで少し考えてしまった。私は姉が二人、男一人の長男なので何の問題もなくこのお墓を引き継ぐが息子は男二人なのでどちらか一人が承継することになる。となると二人の名前は刻めない。「うん、分かった分かった」とその場は受け流したが、いつかはそういう話をする時が来るのだろうなと思いながら幼い二人の息子を眺めてみた。


  皆様も跡継ぎやお墓の承継の事で悩まれたことが有りますでしょうか。今回はお墓の承継の話をさせて頂きます。
  先ずは少し硬い話からさせて頂きます。民法897条では、「墳墓の所有権は相続分の規定によらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継し、被相続人の指定に従って主宰すべき者があるときはその者が承継する。」とあります。つまり、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者、と言うことで、一般的には家の相続人である長男若しくは配偶者に承継されております。東京の調査によると約70%の割合で長男・配偶者に承継されているようです。しかし、被相続人の指定に従って主宰すべき者があるときはその者が承継する、ともあります。という事はこの祭祀の承継は必ずしも相続の関係で引き継がれるものでなくてもよいとされ、相続人が引き継がなくてはいけないという法的な義務を定めてはいないことになります。

  しかし、明治民法では「祭具及ヒ墳墓ノ所有権ハ家督相続ノ特権ニ属ス」とあります。この事は家を相続することと同様に祭祀承継の重要性を指摘し、国民道徳の基に先祖祭祀をおき、その法的根拠を定めたものになります。この点で明治民法から現民法に変わり、相続と祭祀承継の関係を切り離して考える事となります。

  少し前の話になりますが、石塔を建てに来店されたお客様で、施主を誰の名前で彫るかを大変悩まれた方がおりました。「うちは兄弟の中で誰が家を継ぐか決まっていません。だから施主には兄弟全員の名前を彫るのが良いのではないか。」と考えた様でした。しかし、それでは後になって問題が起こる事があるので、お墓を作るこの機会に跡継ぎのことを話し合われたらどうかと提案させて頂きました。数日後そのお客様が来店され、長男が継いでくれることになりましたと、大変喜びながら報告に来られました。お墓を建てる事になったら跡継ぎの事まで決まって大変良かった、と感謝される事がありました。このように、お墓(先祖祭祀)と相続とは実質的には切っても切れない関係にあるのではないかと思います。

  しかし、現在では承継者を誰にするかではなくて、承継者がいない墓地が新しい問題として登場してきました。このような問題は無縁墓地の増加に繋がり、お寺様の経営にも支障をきたす事になります。その解決策としては永代供養墓を建てたり、墓地の使用権を永代ではなく期限付きにするなど、お墓の在り方も変わりつつあります。

合掌

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日本石材産業協会/全優石(認定 全国有料石材店)/全優石(埼玉支部)

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