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お墓の話 其の四

もう夏が来てしまったのかと思わせるような日差しの中、駐車場に車を止め、タオルとバケツを持ちその墓地へ向かう。すっかり立て替えられたその墓所は、新しい石のにおいがしそうな程磨き上げられ、石塔と外柵が眩しく光っていた。
「こんにちは。この度は大変お世話になりまして有難うございます。」
「いえいえ、こちらこそおかげさまでいい石塔を建てて頂いて有難うございます。」
  お施主様と挨拶を交わし、再度石塔をタオルで磨き上げ、出来上がった墓所の説明をさせて頂き、お引渡しをさせて頂いた。


 私共、墓石の営業はお客様のお墓を立てさせて頂く際に、色々なお話を施主様とさせて頂きます。このお墓を建てる事 になった経緯から始まり、亡くなられた方のお話、ご主人・奥様・お子様・祖父母のお話や、故郷のお話等々です。それだけお墓を建てるということは、気持ち がこもり、家の過去と未来の事を考慮して建てますので、その思いを形にして欲しいという気持ちから様々なお話をされるのだと思います。私共はそのお施主様 の気持ちを読み取り、それをお墓という形にする、大変難しい重要な仕事をさせて頂いているのだと感じます。

  皆様が建墓に至る経緯は様々ではありますが、中でも大きな二つの経緯が有ると思います。一つは生前に建てるお墓、一般的に「寿陵(じゅりょう)墓」と呼 ばれるものと、もう一つはご不幸があり納骨の為に建てるお墓です。今回はこの二つのお話をさせて頂きます。
  まず、一つめの「寿陵墓」ですが。これは生前にご自分のお墓を建てるということで、長寿と家運隆盛をもたらす縁起の良いこととされています。有名な寿陵 墓では秦の始皇帝のお墓があります。始皇帝は十三歳で即位すると同時に中国皇帝の習慣として建築を命じたそうです。ただ、寿陵に関しては色々な説がありま すが、私が肌で感じる事としまして、ご夫婦と次の代のご夫婦が揃って来店され、「これがいい」「こっちがいい」と言いながら笑顔の中で石を選ぶ姿を拝見さ せていただくと、とても和やかな家庭が想像でき真に子孫繁栄とご自分の第二の家を建てるような安心感を感じられます。

  もう一つの納骨を控えての建墓に関しましては、亡くなられた方の供養の為に建てるということで、残された方々の故人への思いを形にするという、大変厳粛な気持ちでお話を進めていきます。
  先日ある奥様を亡くされた方のお話を読み、お墓に対する思い入れの深さに感動しましたので、ここにご紹介させていただきます。
「妻は病気で○○才で亡くなりました。四十九日を過ぎた頃、お墓を立ててやりたいと思いたちました。それから半年間、どんなお墓にしようかと悩みながら、 近くの霊園を歩きまわりました。ある日、妻が病床でつけていた日記を読み返していた時、『ありがとう、幸せでした』の文字が目に飛びこんできました。妻の 声を聞いたような気がしました。私は迷わず、この文字を彫ろう、と決めました。墓石は妻がよろこびそうな明るい色を選び、妻の直筆そのままを彫りました。 お墓が完成したのは一周忌を控えた春でした。私にとって、このお墓は妻そのものです。ここは、私がひとりで泣ける場所です」

  このお話を読んで私は言葉がありませんでした。
  お墓を立てるという仕事の意義を再度考えさせられました。

合掌

特集:正しいお墓のクリーニング

日本石材産業協会/全優石(認定 全国有料石材店)/全優石(埼玉支部)

  • お墓相談員
  • お墓ディレクター
    (1,2級)認定