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日本墓紀行「想」

第三回 小津安二郎

戒 名

曇華院達道常安居士

没年齢

60歳

所在地

北鎌倉 円覚寺
鎌倉市山ノ内409

最寄駅

JR横須賀線北鎌倉
北鎌倉駅より徒歩約1分

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 映画監督、小津安二郎が生まれて100年が経ちます。小津が生まれる10年前、映画は誕生しました。伊勢で過ごした中学生の頃は頻繁に映画を観ていたそうです。それも洋画ばかり、邦画には全くといっていいほど興味がなかったそうです。「日本的」といわれるその後の作品からは想像もつきません。ただ、小津の作品に流れるダンディズムはどこかハードボイルドなタッチを感じさせ、むしろ「茶の間」の空間から離れた世界をつくっているようでもあります。

 今回はこの小津安二郎が眠る北鎌倉の円覚寺(鎌倉幕府八代執権・北条時宗が1282年に創建した臨済宗・円覚寺派総本山)を訪ねてみました。
 北鎌倉、今ではすっかり通勤地です。いや、それ以前に小津の作品「晩春」の中では笠智衆演じる東大教授はここから通ってました。円覚寺の茶会のシーンではじまる「晩春」、それに合わせたかのように私たちも緑の映える5月、北鎌倉の駅に立っていました。

週末の北鎌倉は老若男女を問わず多くの人が訪れています。大半は北鎌倉から鎌倉へと寺を訪ねながらの散策を楽しむ人たちです。
 早速、階段を挟むような木立を抜けると巨大な工芸品のような山門が現れます。喧噪の東京からわずか1時間ほどで目の前に広がる静寂の空間があるのは驚きです。多くの人が仏殿へと向かう途中、右に曲がり、木立に囲まれた小道の先に長い階段があります。その上に小津安二郎は眠っています。お墓は程良い大きさで小津の映画に出てくる家のようです。墓には「無」と刻まれており、静かな力を感じさせます。同墓地内には木下恵介監督の墓もあります。また、近くの成福寺には小津作品にはなくてはならない存在の笠智衆が眠っています。

 小津作品には死が度々出てきます。法事だったり、葬式だったり、過去の記憶だったり。どれもドラマチックには描かれていません。自然に日常の中の「ひとつ」として現れています。

 知らずのうちに日常は繰り返しながらもドラマをつくり捨ててるのかもしれません。そんな思いを墓に刻まれた「無」から感じたその日でした。


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