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日本墓紀行「想」

第五回 吉川英治

戒 名

宗文院殿釈仁英大居士

没年齢

70歳

所在地

多摩霊園
府中市多摩町4-628

最寄駅

JR中央線武蔵境駅
路線バス「多磨霊園行き」で15分

「宮本武蔵」の結語

「波騒は世の常である。
波にまかせて、泳ぎ上手に、雑魚は歌い雑魚は踊る。
けれど、誰が知ろう、百尺下の水の心を。水の深さを」


 日本全国の本屋さんには必ずと言っていいほど吉川英治の小説がある。そんな作家は他にはいないのではないだろうか。
「鳴門秘帖」「宮本武蔵」「新平家物語」「三国志」など数えあげるだけでこの紙面は終わってしまう。偉業は幾度となく語られてきたことであろう。亡くなって42年経った今も尽きることはない。

この吉川英治の墓は都立多磨霊園にある。京王線の多磨霊園駅から武蔵小金井駅行きバスに乗る。武蔵野の面影を深く残したままバスは走る。5分もすると並木道に入る。すでに多磨霊園の真ん中を走っている。広大な霊園だ。「正門前」で降り、緑豊かな園内を北に向かって散策のように歩く。大きな木に囲まれてひっそりとその墓はある。

威圧するような大きさでもなく、よくある形でもなく、奇をてらうでもない。正に吉川英治その人のように凛と佇んでいる。
この墓にどれだけの愛読者が訪れたであろうか。人は人を想う。深く想うほどにその人との関係は強くなる。
さて、その関係をもう少し今回は強くしてみる。
多磨霊園を後にして、バスで中央線「小金井駅」へ、向かうは青梅市にある「吉川英治記念館」。
多くの名作が生まれた疎開中とその後8年ほど過ごした住まい跡である。青梅線の二俣尾駅で下車。
都心から1時間ほどのところだが周りは緑に囲まれ、多摩川の様相も下流とはずいぶん違い、週末にはキャンプする人や釣りをする人たちで賑わいそうだ。

歩いて10分ほどで大きな屋敷が目に入る。"草思堂"こと「吉川英治記念館」である。庭の手入れもよく、今は執筆に暮れた部屋もそのままに展示されている。
墓と同じように家もその人を表すのだろ。どこか気品と強さを感じさせる。
「強さ」「弱さ」とは「幸せ」とは、どのようなことかを声高に語ることなく時代の人物を通して易しく語り、深く想い続けた。希有な作家である。

本とは別に墓や住まいの跡などを訪ね、その地に触れることで「その人」が見え「自分」が見えてくるものもある。そんな思いをより感じた小さな旅でした。


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