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エッセイ お墓の話 其の五

其の五
〜お盆について〜

 8月も半ばに差し掛かり、残り少ない夏を惜しむかのように照りつける太陽が眩しい朝、母がそそくさとせわしなく仏間と台所を往復している。ナスとキュウリに割り箸の足を付け、提灯のほこりを払い、仏壇の前に飾り付けをしている。その廻りを子供達が付きまとい、何か手伝いがしたいのだろうが勝手が分からず「ばあちゃん何してんの。」とその飾り付けを眺めている。

「そろそろお盆だから、こうやって飾り付けをしてひいじいちゃんやひいばあちゃんを迎えるんだよ。」
「なんで死んじゃったのに家に来るの?どうやって?おばけになって出て来るの?。」

  小学校一年生と幼稚園生の質問攻めにあい、何と答えて良いか悩んでいる母をどう言って助けようか考えたが、子供に分かるように説明するには何と言えば良いのか少々悩んでしまった。

「裕基と真基はひいばあちゃんしか知らないと思うけど、ひいばあちゃんはいつもはお寺のお墓の中にいるでしょ。でもいつもおうちは大丈夫かなー。 裕基と真基はいい子でいるかなー。って思っていてくれてるのね。で、八月の十三日になると皆でお墓に迎えに行って、おうちは大丈夫だよー、裕基と真基は良い子にしてるから安心して眠っていてね、って見せてあげて、いっぱいご馳走を食べてもらうんだよ。その時キュウリの馬に乗ってお家に来て、お墓に帰る時はナスの牛に乗って帰るからこうやって飾っておくんだよ。」
「ふーん。」
こんな説明で分かったのか余計に分からなくなったのか、曖昧な返事をしながらも、二人はキュウリの馬とナスの牛を見つめていた。


 お盆の季節になりまして、毎日暑い日が続いておりますね。今回のお墓の話は「お盆」を取り上げて見たいと思います。
  先の話は子供に教える時に言った言葉ですが、本から拾ってみると少々硬くなってしまいます。
  お盆とは正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といいまして、言葉の意味としましてはサンスクリット語のウラバンナ(はなはだしい苦痛、逆さづりの苦痛)と言います。なにか私達が普段使っている言葉の感覚と意味が少し違うように感じますね。

『仏説盂蘭盆経』によりますと、お釈迦様の十人の弟子の一人である目連尊者が、神通力により亡き母の姿を見たところ、餓鬼道に落ちて逆さづりの苦しみを受けていました。そこでお釈迦様に教えを請うたところ「七月十五日に夏安居(げあんご)という僧侶の修行期間が終わるので、その時多くの方々に『百味の飲食』の供養をすれば、そなたの母は飢餓道から救われるであろう」と説かれ、目蓮尊者が教えのように供養したところが盂蘭盆会の始まりであるといわれています。

  十三日にお迎え火をたき、十五日には送り火をたきます。仏壇に精進棚を作り、朝、昼、晩と食事を供え、帰るときには、持ち帰るようにおだんごを供えます。宗派にもよりますが、その間お坊さんが来られてお経を上げます。これを棚行といいます。新盆を迎える家では、生前ご縁のあった方々が、仏様を拝みに来られます。京都では送り火ということで大文字の送り火がたかれ、各地の海岸や川で精霊流しが行われます。

  皆様もお盆には毎年お墓参りをされると思いますが、次回からは前記のような意味があることを考えながらお参りしてみてはいかがでしょうか。

合掌

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